2014年1月5日日曜日

ライブ・イン・ニューヨーク・シティ

埼玉の、山ギリギリの車道を抜けた先に在る三階建ての工場、自分たちの派遣会社は、基本的に一階を10人ほどで任されていて、自分は一階の中でも限りなく重い箱を運ぶ、甘く見積もっても外の風が吹き抜ける、あらぬ限り同僚のメガネが一人居る、よく見ると訛りのきついおっさんも一人居る、どう見ても肉体労働エリアだった。全階で百人近く従業員がいる中、重い商品ばかりを運ぶのは自分たちだけ、力持ちの最強のふたり、もしくは最下層のふたりだった。
そのメガネは全く仕事以外のことを喋らず、よく言えば硬派、悪く言えば高機能自閉症の推定童貞だった。そもそもそれは他の工員にも言えることであり、自分含む会社や店で働けない困ったやつらが、その建物に全員集合していた。偶然にも全員週五だった。
笑えない志村たち、たまに一階の同じ派遣が居る別のエリアに行くと、基本20代中盤男女の中にちょくちょくアラフォーという、後のバイト人生でよく見かけることとなる年齢分布。一見このエリアは楽しそうであったが、何分か居ると、そこはかとなく違和感を感じてくる。例えば、面白いことがあってもそういうこともあるよね感でもってスルーしていた。マンキツだと勿体無い勿体無いと、高度経済成長を経験したBBAのようなケチさでもって全員群がっていたような事案である。
丸メガネのハゲかけたガタイのいいおっさん、芋洗坂係長を薄めたような大矢という名のモンスターが、高い棚にある箱を取ろうとしてメガネを落とし、メガネに大きくヒビが入った。もちろんメチャクチャピュアな目をしていて、なぜか丸メガネだったので、撃たれた直後のジョンレノンのようだった。
ジョンレノンの死を加害者目線で追った「チャプター27」のジャケットか!と思っても、発表する人も居らず、そういうこともあるよね感でもって、それは打ち消された。
何日かすると飲み会があり、たまたま同年代美人女性二人が自分の前に座った。そこに、かなり笑いにストイックな42歳の子デブのBBAも居り、自分はその右腕の貢献もあってか、えっ俺さんま?
もしくは、えっ俺さんまさん?と、言わざるを得ない状況となった。あくまでも一例であるが「どういう顔がタイプなの?」自分である。「いや顔はあんま関係ないし」女である。「芸能人でいうと誰?」「えー」。そこに、わざとらしくなさと気付いて欲しいという中間の表情でもって俺「織田信成とかはどう?」そこに42歳「うわー、織田信成に似てるー」場内大爆笑である。織田信成に似てるというだけで爆笑を掻っさらうことができるほど彼奴等は波を起こすことができないでいたのである。暖まったままの勢いで「そういや、大矢さんがメガネ割ったとき、撃たれた直後のジョンレノンかと思ったわ!戦争のない世界想像したわ」
そういうこともあるよね感でもって、それは打ち消された。

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