2014年1月15日水曜日

ビジターQ(2001)

殺し屋1と同年に作られた三池崇史の最強最低映画。とある訪問者(タイトルではQ)により、集団が再生していく話。
殺し屋1を陽とすれば完全に陰な映画だ。予算、シーン共に非常に少ないので、華やかさが無い。ファッション性も無い。着飾らない汚物。家族映画が割と好きな自分だが、これぞ究極の家族映画である。ただしこっちは同じ家族ものでも、ロイヤルテネンバウムズ(2001)とかが好きな女どもを数分で最悪な気持ちにさせることができる。空中庭園(2005)よりもアッパーに(空中は監督が薬物常習者だっただけだが)、過剰な性をビデオ映像で描く。ビデオということもあってか、「どうですかお客さん?」といったような厚かましさがないので、こちらが食い入って見てしまう。かといって映像クオリティも高い。ジャーナリスト視点のPOVも混ぜ、今よりもぐんと安っぽく生っぽかった当時のビデオ映像を最大限に生かした、映画の常識を無視した斬新な画。それゆえ比較対象が無いので批判のしようがない。例えば園子温のうつしみ(1999)は、映像クオリティだけでいうと低いと思う。

覚せい剤常習者で売春もしている母。母にDVを振るう、いじめられている息子。それらを無視する円光三昧のジャーナリストの父。家出して父と円光してしまう娘(しかもオープニング)。父の友人と名乗る無口の居候が住み始め、彼ら彼女らの行動は激しく変化していく。それは狂っているのか、ただの家族愛からなのか。
永遠に終わらぬどつき漫才の果てにある究極の安心。遠藤憲一、内田春菊といういい加減にしてほしいガイキチ中年の汚すぎるけど嘘がない演技。嘘が無いということが、こんなにも美しくて笑えるとは。

今アマゾンで確認したところ、DVDが9690円だった。レンタルに置いてなければ、こういう転バイヤーの利益しか産まない作品はネットで見て問題ないのではないか。ちなみにうつしみは300円高い9990円。園子温勝利。や、TSUTAYAのページで検索したところ、どちらも新宿TSUTAYAにはDVDがあるようだ。テレビ画面で見よう。出世して当たり前の人達が出世したことに感謝。

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